IT導入と活用の勘所(その2)~IT導入の目的~

コラム

 前回、流行やイメージ先行でIT導入に取り組んだ結果失敗してしまった例について触れました。今回はこの例をもう少し詳しく掘り下げて、IT導入を成功させるためのポイントを考えたいと思います。

 とある企業の経営者は、自社の営業部門について以下のような課題を感じていました。
 ・ベテラン社員の営業スキルは高いがノウハウが属人化しており、若手の営業担当者が育たない
 ・特に地方拠点の営業担当者の活動内容が把握できない
 ・インターネットで商品の情報を容易に収集できるようになり、顧客の目が肥えてきているなかで、
  従来のままの営業スタイルを続けて良いのか
 そのような状況の中、たまたま参加したDX関連のセミナーで営業支援・顧客管理システムを紹介されました。そのシステムを使うと営業日報を共有することで営業活動を「見える化」することができ、また顧客情報をもとに見込み客に対しメール配信をするなど、デジタル化の時代に相応しい営業スタイルが実現できそうです。この営業支援・顧客管理システムに営業部門の課題を一気に解決する可能性を感じた経営者は、程なくしてこの営業支援・顧客管理システムの導入を決定しました。
 しかし、現場では反発が生まれているようです。営業担当者からすれば毎日営業日報をパソコンに入力することがどのように売上目標の達成に結び付くかがわからないですし、見込み客へのメール配信に至っては、配信する「ネタ」を考えて準備するにはかなり負担がかかりそうです。こうして、カスタマイズまでして導入した営業支援・顧客管理システムの活用は危機に直面しました。

  この企業ではその後、営業部門を主体とする営業改革のプロジェクトチームを結成したことをきっかけに営業部門の当事者意識が高まり、営業支援・顧客管理システムも徐々に活用されるようになりました。当初、経営者は営業部門の課題を解決する目的で営業支援・顧客管理システムの導入を決定しました。しかし、導入する目的が社内に十分共有されていなかったことがつまづきの原因と考えられます。特に、営業支援・顧客管理システムのように、ある意味「なくても現場では仕事が回せてしまう」ような情報システムを導入する場合は、経営者自ら導入の陣頭に立ち現場をリードし必要性の理解を促す、または現場の担当者が当事者意識をもって業務の見直しを含めたシステムの活用に取り組めるようにすることが重要です。

~ IT導入と活用の勘所(その2)~
『ITは導入する目的を明確にして社内で共有すべし』