自社に新しくIT(情報システム)を導入すると決めたとき、その情報システムをどのように構築すればよいか、考えてみたいと思います。
情報システムを構築する方法として、一般的に以下の選択肢があります。
①ITベンダーに依頼してオーダーメイドで構築する(スクラッチ開発)
②パッケージソフト(「出来合い」のソフト)を購入しそのまま利用する
③パッケージソフトを導入し、ITベンダーに依頼して必要な部分を自社向けに修正(カスタマイ
ズ)する、または不足する機能を追加でプログラム開発する
④「出来合い」ソフトをインターネット経由で利用する(クラウドサービス)
⑤自社で情報システムを内作する
それぞれ長所と短所がありますが、一般的に以下の傾向があります。
①と③は、自社の業務に合わせた情報システムが作れるが、お金と時間がかかる
②と④は、比較的低コスト・短期間で利用できるが、自社の業務をパッケージソフトやクラウドに
合わせなければならない
⑤は、情報システムを内作できる人材や情報システム開発にかける時間の確保が難しい
特に経営資源(ヒト・モノ・カネ)に制約がある中小企業の場合、コストや構築期間でのメリットが大きい②と④(パッケージソフトを導入しそのまま利用、またはクラウドサービスの利用)をまず最初に検討すべきでしょう。特に、会計(仕訳や決算書作成などの制度会計)のように企業間の差(独自性)が小さい業務の場合は、自社で一から開発するよりもパッケージソフトやクラウドといった「出来合い」のシステムを使うほうが効率的です。また、法改正が関係する業務であればベンダー側で法改正の内容をシステムに反映してもらうことも期待できます。
さらに、最近では④(クラウド)の利用が一般的になってきました。クラウドですと大抵の場合、パソコンとインターネットに接続できる環境があれば利用でき、初期導入コストを抑えることができます。また、1ヶ月程度無償の「お試し」期間が設定されているサービスであれば、実際に操作して自社の業務と最も相性のよいサービス、使い勝手のよいサービスを評価・検証してから契約することもできます。
自社に新しくITを導入すると決めたら、システム化する対象の業務をしっかり把握したうえで、自社に最も適したクラウドサービスやパッケージソフトを検討することが、ITの構築方法を決めるための最初の一歩です。
IT導入と活用の勘所(その3)~
『IT導入は、まずクラウド、パッケージソフトの利用から検討すべし』