ITの導入のしかたについて、経営者が導入を決めたITツールを現場の社員が利用するケースが多いと思われます。経営者の号令一下、全社員がITツールの導入や活用に向けて一丸となれればよいのですが、実際には社員の理解や協力が得られず、スムースに進まないこともあるでしょう。もちろん、経営者からの強いトップダウンにより社員に協力させる方法もありますが、社員が自ら積極的にITツールの導入や活用に協力する姿勢を引き出せるのが理想ではないでしょうか。今回は、ITの導入や活用に向けて社員の協力を引き出すためのポイントについて考えたいと思います。
一般的に、IT導入に対し非協力的と見なされてしまう社員には、以下のような行動が見られます。
・現場のキーマンであるにも関わらず、仕事を理由にIT導入のための会議をいつも欠席する
・「ITを導入して何になる」というように、IT導入を公然と否定する
・IT導入によるデメリット、リスクを過大に吹聴する
・IT導入のための作業の期限を守らない・後回しにする
では、なぜ社員が上記のような行動をとるのでしょうか。実は、IT導入に反対するつもりはないが、日々の仕事が忙しすぎて会議への出席や作業ができないのかもしれません。または、ITを導入することによる仕事の内容ややり方の変化に不安を感じ、抵抗しているのかもしれません。もしかしたら、日頃の不満を形をかえてぶつけているだけなのかもしれません。
社員が非協力的な行動する理由(原因)がわからなければ、協力を引き出すためにどう対応すべきかもわからないはずです。非協力的な社員が生まれてしまった場合、非協力的な社員にもしっかりと向き合い、会話することでその考えを知ろうとする姿勢が、経営者や管理者には求められるのではないでしょうか。
江戸時代に書かれた武士の修養書『葉隠』には、源平合戦の英雄である源義経が詠んだ歌として
「大将は部下に言葉をよくかけよ」
が紹介されています。いざというときはもちろん、普段から部下によく声をかけることの大切さが説かれています。社員に声をかけること、会話することは社員との意思疎通に向けた第一歩です。IT導入に限らず、チームワークを発揮する組織をつくるために必要な心掛けではないでしょうか。
IT導入と活用の勘所(その7)~
『社員の協力を得るための第一歩は社員との会話にあり』