前々回はパッケージソフトやクラウドサービスの利用、前回は情報システム構築を内製化するためのITツールについてご紹介いたしました。実際にこれらのITツールを導入しようとする場合、同じ用途でも複数のITツールが出回っていることが多く、どのITツールを選ぶべきか判断できないことがあるかと思います。今回は後悔しないITツール選びに役立つノウハウをご紹介いたします。
まず、ITツール選びに取り掛かる前に、ITツール選びにあたり評価するポイントを決めます。一般的には以下のようなポイントが考えられます。
・機能の充実度…豊富な機能を備えたITツールか
・操作性…操作しやすいか、操作に慣れるまでに時間がかかりそうか
・要件適合度…ITツールを導入することで要件(実現したいこと)が実現できるか
・保守サポート…ITツールベンダーから手厚いサポートが受けられるか
・導入実績…導入実績が多く信頼性が高いITツールか
・ITツールベンダーの信用度…継続してサービスを提供する体力のあるITツールベンダーか
・価格…保守サポート費用含め、他社と比較して乖離していないか、どのような支払条件か
評価するポイントには、「大(5点)」「中(3点)」「小(1点)」のような優先度(重み)を設定します。例えば、「価格が安ければ多少使い勝手が悪くても構わない」ということであれば「価格」の優先度が「大(5点)」、操作性の優先度が「小(1点)」となるイメージです。
次に、上記の評価ポイントに基づき候補となるITツールを評価します。例えば、「〇(5点)」「△(3点)」「×(1点)」の3段階で、機能の充実度は「〇」、価格は「△」などのように評価します。なお、前々回でも触れましたが、特にクラウドの場合、1ヶ月程度無償の「お試し」期間や無償のコースが設定されていることがあります。こうした「お試し」期間を活用することで、操作性や使い勝手は実際に試してから評価できます。
最後に、候補としたITツール毎に各評価ポイントの得点(優先度×評価)を集計します。最も得点の高いITツールが導入に向けた最有力候補となります。事前にITツール評価基準を決め、定量的に評価することで、ITツール選びの主観性を排除できることが今回ご紹介した方法の長所です。
IT導入と活用の勘所(その5)~
『ITツール選びの秘訣は、事前に選択基準を決めることと定量的な評価にあり』