正しい判断を下せるようになるために必要なこと(その2)

コラム

 前回に引き続き、正しい判断を下せるようになるためには何が必要かを考えてみたいと思います。

 『大事の思案は軽く、小事の思案は重く』という言葉があります。江戸時代に記された武士の心得についての書『葉隠』の一文です。重要なことはサッと決め、小さなことは疎かにしないようにすべきという意味です。一般的な感覚では『大事の思案は重く、小事の思案は軽く』となるでしょう。では、なぜ 『大事の思案は軽く、小事の思案は重く』 と説かれたのでしょうか。
 企業経営で例えると、「大事」とは、新事業への進出や事業の転換、大規模な設備投資など、会社の命運を左右するような判断や決断が該当するでしょう。会社の命運を左右するようなことであれば当然経営者の判断は慎重になりますが、そこから臆病風に吹かれ、判断をためらうことがあるかもしてません。
 一方で、「小事」とは日々の仕事のなかで下す判断が該当するでしょう。「大事」に比べて「小事」は頻繁であり、また仮に判断を誤ったとしても、その時点においては会社に与える影響は小さいです。そのため、多忙ななかでついつい「小事」を雑に扱ってしまうこともあるかと思います。しかし、一見小さな判断ミスから「大事」につながってしまうこともあります。例えば、営業担当者の日報をきちんと読まなかった結果、顧客ニーズのヒントやトラブルの兆候を見逃し、商談を逃したり重大なクレームが発生した、といったことです。経営にとっては、「小事」といえでも「大事」と同じく重要と言えるでしょう。
 大事なことは常日頃から考え、方針を決めておき、いざとなったらその考えに基づき、先送りせずに素早く判断・決断するのが 『大事の思案は軽く』。小さなことでも無造作に判断せず丁寧に扱うことで 最終的に大きな成果につなげる、または大事に至るのを防ぐのが『小事の思案は重く』の本質でしょう。
 私の仕事は、中小企業において『大事の思案は軽く、小事の思案は重く』を実現するしくみのお手伝いであると考えております。経営方針や経営課題の整理、また設備投資効果のシミュレーションなどを通じで「大事の思案」を軽くし、経営者の素早い判断、決断をお手伝いします。また、生産性の向上やIT活用による業務の効率化で、「小事を思案」する方の時間的、精神的余裕を生み出すお手伝いをいたします。ご相談等ございましたら当方までお気軽にお問い合わせください。